東京藝術大学に在学していた頃から、私は一貫して「祈り」というテーマに向き合い、作曲を続けてきました。ここで言う「祈り」とは特定の宗教や教義に基づくものではなく、私たちが日常の中でふと立ち止まり、何かを願い、想いを馳せるという、人間の最も純粋な行為としての「祈り」のテーマです。
昨年、私は大病を患い、現在も治療を続けています。この経験は、私に「人生は決して無限ではなく、有限である」という事実を強く突きつけました。限られた時間の中で、自分は世界に何を残せるのか。そう自問自答した時、これまで書き溜めてきた自身の作品たちを、ひとつの形として皆様にお届けしたいという強い思いに駆られました。
本公演では、東京フィルハーモニー交響楽団の名手たちに加え、長きにわたり私と音楽の苦楽を共にしてきた、心から尊敬する演奏家たちをお迎えし、私の作品の核心である室内楽の響きをお届けします。プログラムには、ピアノ三重奏やピアノ五重奏といった王道の編成にとどまらず、多彩な音色を散りばめました。無伴奏トランペット・ソロや、2本のトランペットとピアノによるアンサンブル。そしてバストロンボーンとピアノという、一般的には大変珍しい編成による祈りの響きです。
川口リリア音楽ホールという美しく豊かな残響空間で、皆様とこの特別な時間を共有できることを、心よりお待ち申し上げております。
高33回卒・立原 勇

