すでに多くのメディアで様々に報道されているので、ほとんどの方はご存知だと思いますが、あらためて県教委の措置報告書(共学化勧告への回答)について少しまとめておこうと思います。
まず、措置報告書に書いてあること、について。
全15ページのうち、勧告の趣旨やこれまでの経過、アンケート結果や各校の意見聴取の概要の紹介などに約13ページが割かれ、残り2ページ程度が「4 今後の方向性」という結論になっています。
そこでは、まず「(1)令和5年度勧告で提言された施策等への対応」の中で、
・教育の機会均等に留意する
・「魅力ある県立学校づくりの方針」の中に今回の県教委の考え方の記載を検討する
・男子校における女性教員の割合に配慮する
・各校の歴史や伝統を尊重しつつ、共学化の際は新しい歴史や伝統の創造を支援する
・男女共同参画の視点に立った教育を一層推進する
そして「(2)県立高校の共学化について」の中で、
・高校の3年間を男女が互いに協力して学校生活を送ることに意義がある
・アンケートや意見で共学校、別学校とも多様なニーズがあることが分かった
・共学化に当たっては、アンケートや意見交換などで県民意見を丁寧に把握する
などが示され、
最後に、
「中学校卒業者数が減少し、教育ニーズが多様化する中、(中略)将来にわたり個人の能力と希望に応じた進学先の選択肢を用意することが求められる。県教委として、今後の県立高校の在り方について総合的に検討する中で、主体的に共学化を推進する」とまとめられています。
さて、ここからは感想です。
「高校の3年間を男女が互いに協力して学校生活を送ることに意義がある」というのが共学化推進の直接的な理由のようです。一方で、男女別学校にも多様なニーズがあることや、別学校の歴史と伝統は評価すること、さらには進学先の選択肢が求められていること、またアンケート結果に別学の維持を求める声が多くありますが、それらには特段具体的な言及はありません。
約20年前の同ケースでは各学校の主体性を尊重してくれましたが、今回は「主体は県教委にある」とはっきり述べています。
ただ、何回か読み直しましたが「主体的に共学化を推進する」という結論は大変明確ですが、結論に至る文脈がどうも消化不良で唐突な印象を受けます。
あえて申し上げれば、今回の報告書は一歩踏み込んだ、ということです。明確に「共学化を推進する」と表明したことで、仮に県教委の動きがなかなか進まない時、その方向性を期待する人たちの追及が待っているのではと危惧するのです。「いつやるのか?」「どのような方法で?」「どの地域で?」」「遅い!早く進めなさい!」例えば、県議会でそんな質問を耳にする機会も出てくるかもしれません。県教委はどのように対応するのでしょうか。
報告書の読み方は人それぞれです。私のように少し心配性な読み方もあれば、具体的なことが何も書いてないからしばらくは別学のままだ、と読む人もいると思います。ただ、具体的なことや、核心的なことはオブラートに包まれたままで、どうもよく分からないなぁ、という人も多いのではないかと懸念しています。
前回のコラムでも書きましたが、この問題、まだ幕は引けません。息の長い取組みになりそうです。
※措置報告書については、同窓会長コラム第34弾に全文を添付してあります。参考にご覧ください。
同窓会長コラム第34弾「昨日、共学化勧告への(残念な)回答が発表されました」
埼玉県立春日部高等学校同窓会会長 種村 隆久
*関連ページ: 種村隆久会長の挨拶(2022年7月公開)