1件の苦情に端を発する共学化勧告から2年。県教育長の「主体的に共学化を推進する」記者会見から1年。
その間、各校での意見聴取会、意見書の提出・懇談、県民アンケート、共学化反対ウォーク、最近の意見交換会、などなど。多くの関係者の皆さんが熱心に声を上げ、行動し、働きかけを行ってきましたが、どうにも、私たちの現在地が見えません。
何も返ってこないんですよね。なんだかいつも「暖簾に腕押し」状態。
問題解決には、お互いの意見・考え方を知り、共通点や相違点を明確にした上で、それぞれが合意、或いは妥協できる点を見つけていく努力をすることが必要だと思います。ただ、今は、誰に対して、何を言えば、私たちの声が届くのか。そもそも、私たちの声に耳を傾けているのかさえ分からない状態のような気がします。
この夏の意見交換会で、県教委の出席者は「県が主体的に共学化を推進する」納得できる理由を説明したのでしょうか。会場で具体的にどんなやり取りがあったのか、県側から公表されるのでしょうか。何より、中高生参加者の意見に対して、最後は「教育委員に伝えます」って。いろいろな不安もある中で、思い切って参加してくれたんです。もう少し誠実でていねいな対応があるべきでは。
では、中高生はじめ意見交換会参加者の意見を伝えられた教育委員の皆さんがどんな議論をしてくれるのか。参考に、昨年の教育長記者会見(8月22日)以前の教育委員会会議で、共学化についてどんな議論があったのか、あらためて確認してみました。
県HPを見ると、3回の会議で「共学化について」の協議部分はすべて「非公開」。何がどう話し合われたか、知ることもできない、ということです。昨年5月に実施された県民アンケートでは「別学校を残すべきだ(残した方がいい)」という答えが「共学化すべきだ」という答えをかなり上回っていたのに、なぜ、県民の声に反して「主体的に共学化する」という結論に至ったのか。その議論の経過を知りたいと思うのは当然だと思いますが。
当時としては、意思決定過程に関わる会議だから非公開にしたとしても、すでに協議は終わっているのですから、会議の経過や発言内容は情報開示されるべきだと思いますが。どうなっているのでしょうか。
昨年2月の春高意見聴取会で、私は、県教委の出席者に「このような大事な議論はできるだけオープンにお願いしたい。何も情報が示されないまま、ある日突然結論だけ出されるのが一番まずい」と申し上げました。
しかし、昨年8月22日、突然、県教育長が記者会見で「主体的に共学化する」と表明しました。教育委員会会議の経過も知らされない私たちは大いに憤慨しましたが、その後も特段の説明もなく、今に至っています。
共学化の議論は、埼玉県の高校教育の歴史と将来を大きく変えてしまいかねない大変重要な問題です。この一大事について、何も伝えないで進めることが県教委の深謀遠慮と思いたくありませんが、せめてもう少し情報を共有し、真摯に向き合う機会を増やしていただきたいと思います。
ここで、こんなことを言うのはお門違いですが、私の座右の銘は「至誠天に通ず」(何事も誠実に取り組めば必ずうまくいく)です。平たく言い換えれば「お天道様は見ている」かなと思っています。
どうでしょうか。ぜひ、お天道様の下で、きちんと向かい合って意見のキャッチボールしませんか。
埼玉県立春日部高等学校同窓会会長 種村 隆久