7月5日、大河滔々奨学基金運営委員会の今年度第1回会議が開かれました。
ご存知のとおり、大河滔々奨学基金は、経済的援助が必要と認められ、かつ学習意欲がある生徒及び卒業生を支援するもので、高校創立120周年を契機に設立されました。
今年度の同窓会総会では、約3700万円の基金残高や、本年度は538万円の予算を組んで生徒たちに経済的な学習支援を行うことが承認されました。毎年、多くの同窓の皆さんから多大なご協力をいただき、運営させていただいています。感謝申し上げます。
さて、今回の会議で話題になったのが、ARDF(アマチュア無線方向探知)世界大会に日本代表(19歳以下男子の部)として出場する春高3年生の山本陽(やまもとはる)君。
山本君は、物理部員です。物理部では、これまでも多くの部員がARDFの国内大会に参加してきましたが、今年の国内大会で山本君が5位入賞し、見事、日本代表の座を射止めたのです。
ところで、ARDFってなんだ?! と思うでしょう?
競技者が、地図と無線受信機を使って山野のフィールド内に設置された無線送信機を探し出し、制限時間内に見つけ出した送信機の数とゴールタイムを競う、知力と体力を必要とするスポーツです。
アマチュア無線を使ったオリエンテーリングみたいなもの、でしょうか?
今年の世界大会がリトアニア共和国で開かれることになり、必要経費(航空券、ホテル代、食事代など)は個人負担だということです。ご両親は、ぜひ行ってこいと喜んでくれたようですが、校長先生から、さすがに多額の経費をご両親に負担させるのはどうか、大河滔々奨学基金から一部でも支援できないかと申請があり、協議したという経緯です。
大河滔々奨学基金は、4年前から、経済的援助が必要な生徒さんへの支援だけでなく、SSH学習の離島フィールドワークや、夏休みの語学留学、文科省主催の語学特訓研修、メルボルン高校との交流事業など、一段高い自発的な学習や春高として特色ある学習にも一部支援を広げています。
今年はさらに春高を卒業して上級学校に通う学生さんへの支援も対象としました。
今回のARDF世界大会に日本代表として選ばれた26名(19歳以下男子の部は3名)に入ったということは素晴らしい実績であり、出場校の多くを工業系の学校が占める中で、春高の名を世界に誇り春高の価値を高める快挙だと思います。会議では、全会一致で旅費・宿泊費の一部を支援することを決定しました。
7月18日に校内で行われた壮行会では「競技も大学受験勉強も頑張ってくる」と力強く話したとのことで、その意欲に大いに期待したいと思います。
大会は、8月16日から22日に、リトアニアのビルシュトナスという自然豊かな都市で開かれる予定です。山本君がリトアニアの森の中を発信機を探して疾走する姿が今から目に浮かぶようで楽しみです。がんばれ!
埼玉県立春日部高等学校同窓会会長 種村 隆久