同窓会長コラム第48弾「『男女共学化意見交換会』のあり方について」

埼玉県教育委員会が、7月25日から8月23日にかけて開く「埼玉県立高等学校の共学化に関する意見交換会」の中高生の応募が低調です。当初4月に開催要領と参加者募集の告知を行ったものの、中高生の部にほとんど応募がなかったため、5月15日にあらためて追加募集をしましたが、7月8日時点で定員の35%の応募しかない状況です。

そもそも、この意見交換会は、県域を東西南北に分けて、それぞれ中学生・高校生15人ずつ(計120人)。その他、中高生の保護者20人、それ以外の県民20人を合わせて全体で160人の定員です。160人とは、埼玉県民約720万人の0.00002%に過ぎません。

県教育長は、昨年8月22日に「主体的に共学化を推進する」と記者会見で表明した際、「広く県民の声を聞いていく」ことを併せて述べました。そのアクションの第1歩を踏み出したことは評価できますが、やり方はどうなんでしょうか?

中高生が参加を躊躇するコメントに「名札(氏名・学校名)を付けること」「報道機関が取材に入ること」「個人情報や発言内容がどう取り扱われるか」などが懸念されるとありました。相手は現役の中高生(年齢12歳~18歳)です。ナーバスになるのも無理はありません。彼らが参加しやすい、意見を言いやすい環境が作られているのでしょうか。今までどおりの役所的なやり方で、若い彼らの自由闊達な意見を引き出せるのかは不透明です。

さらに、今年度の意見交換会は今回限りで、今のところ追加開催などは想定していないということです。学校や地域から要請があれば出張して意見を聞くとのことでしたが、現時点はまだそういう要請は来ていないようです。少なくとも「広く県民の声を聞く」姿勢は残念ながら感じられません。この状況からは、多くの方が「旧態依然」「お役所仕事」と感じても無理はないですね。

県HPによれば、意見交換を予定する主なテーマは、
・埼玉県教育委員会の共学化推進の考え方について
・男女別学校と共学校に対する志望動機や学校生活等について
・男女共同参画の視点に立った教育について
・生徒数の減少が見込まれる状況と各地域の県立高校について
と設定されていますが、これは運営する役所側の視点であり、参加する若い中高生からはもっと違う意見を述べたいと思う人もいるのではないでしょうか。

私は、この問題は、もっと広く多くの県民に関心を持ってもらう必要があると思っています。男女別学校関係者や共学化推進団体だけの問題で終わらせてはいけないと思います(この両者が合意する余地はありませんから)。

意見交換会への中高生の参加が低調なことだけで、共学化問題への関心が低い、大した問題ではない、一部の人たちが騒いでるだけだ、などという誤解が生じるのは避けたいのです。この問題はすべての県民の皆さんにとって、県予算の使途のあり方にも関わる問題であり、特に将来高校選択を考える子どもたちにとって、自分たちに降りかかる問題でもあるのです。今のままのやり方では、将来に禍根を残しかねないと危惧しています。

今この問題の当事者であり、直面する私たちが声を上げ続けることが重要です。
息の長い取組みになることは確実ですが、一つずつていねいに取り組んでいくことが大切だと思います。

※参考に、埼玉県HPから意見交換会への中高生追加募集のチラシを添付します。
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/266750/leaflet_tsuikaboshu.pdf

埼玉県立春日部高等学校同窓会会長 種村 隆久