同窓会長コラム第40弾
「年が明けても、共学化問題です!」

昨年末12月26日に行われた「冬の共学化反対ウォーキング」(「県立学校の共学化に反対する会」主催)は約250名の皆さんの参加があり、各メディアにも取り上げられました。ご参加いただいた春高関係者の皆さん、お疲れ様でした。

さて、1月9日に埼玉県教育委員会が「魅力ある県立高校づくりの方針(案)」を作成し、2月9日まで県民の意見を募集する(パブリックコメント)ということです。手続きとしては、1か月間の意見募集を経て、集められた意見を考慮して必要な修正を行い、正式に発表するということになります。

方針案では、2038年4月までに、県全体で15校~19校の再編を検討するとしています。(131校(*)を116校~112校に再編) (*)2026年4月見込み数
〇県東部・利根地域 △5校~7校 
〇南部・さいたま・県央地域 △2~4校
〇南西部・川越比企・西部地域 △6校~8校
〇北部・秩父地域 △1校~3校

県教委の担当課長は記者発表時のコメントで「この方針案は中学校卒業生の減少などの少子化を背景に、一定の学校規模の維持のために統合再編整備に取り組むためのものであって、高校共学化を目的としたものではない」「共学化については、昨年8月22日の措置報告書のとおり推進していく」と発言していました。

ただ、全40ページくらいの方針案の中で、1ページ分を使って「共学化の推進」という項目があり、県男女共同参画苦情処理委員からの勧告に始まり「県が主体的に共学化を推進する」とした措置報告書まで、一通りの説明が記載されています。共学化を目的とした方針案ではないが、「共学化はきちんと視野に入れている」ということでしょう。

受験者数の減少などを背景に高校統合が進めば、地域によっては自ずと別学校が再編の対象となり、結果として共学化されることも想定されます。つまり県が推進しようとする「共学化」が成立してしまうわけです。

以前、県教委は措置報告書の中で「共学化に当たっては、県民の意見を丁寧に把握する必要があるため、アンケートや地域別での意見交換、有識者からの意見聴取などを実施する」としていました。

しかし、この方針案のとおりに事が進められれば、私たちが別学維持の理由として主張してきた「高校選択の多様性」「生徒ファースト」「重ねてきた歴史と伝統」などについて十分な議論もなく、人口減少や少子化を理由として共学化が進められてしまうおそれがあることに大いに懸念を持ちます。本当に県民意見の丁寧な把握や十分な議論が保証されているのでしょうか。

ついつい悲観的な疑いの目で物事を見てしまう癖がついてしまいました。しかし、昨年8月に公表された措置報告書では、各別学校の意見表明や、県民アンケート結果(現状維持の答えが共学化推進を上回った)などには具体的な言及もなく、主体的に共学化を推進するという結論だけが一人歩きしている現状に危惧を覚えるのは私だけではないと思います。

この方針案は、県HPで閲覧できます。県民は誰でも意見を述べることができます。意見の募集は2月9日(日)までです。

埼玉県立春日部高等学校同窓会会長 種村 隆久