同窓会長コラム第17弾
「県立高校の男女共学化についてどう思いますか?」(埼玉県男女共同参画苦情処理委員からの勧告書を発端として)

すでにご存知の方も多いと思いますが、本年8月30日に、埼玉県男女共同参画苦情処理委員から県教育委員会教育長にあてて、主に県内男子校における管理職・教員等の男女格差の問題や、男女共学化の早期実現についての勧告書が提出されました。(詳細は、埼玉県サイト「埼玉県男女共同参画苦情処理委員による勧告について」ページに掲載の勧告書の写し(PDF)をご覧ください)

簡単にまとめると、主な指摘は次のとおり。

  • ① 県内男子校(5校)では女性管理職が0%であり意思決定に女性が参画していない。
  • ② 県内男子校の全教員における女性教員の比率が男女共学校に比べて少ない(約20%)。
  • ③ 全国で男女別学校が残っているのは、埼玉県(12校)、群馬県(12校)、栃木県(8校)、千葉県(2校)のみである。
  • ④ これらは女性が女性であることのみで差別を受けることを禁止する女子差別撤廃条約に反している。

こうしたことから、「埼玉県立高校の男女別学校における管理職や教育員の格差における問題が浮き彫りになっていることは明らかであり、その解消のための施策がなされるとともに、埼玉県立高校において、共学化が早期に実現されるべきである。」との勧告があり、県教育長には来年8月までの回答が求められています。

県教育長から、関係高校の校長先生、PTA、同窓会などに対して意見聴取の機会を設けることとなり、来年1月頃に同窓会として意見を申し述べる予定になっています。他にも、在学生や保護者等へのアンケート調査も予定されているそうです。

同窓会では、11月26日に正副会長監事会議を開き、この問題について意見交換を行いました。さらに、同窓会の37支部の皆さんのご意見も伺おうということになり、現在、各支部長さんにあてて文書にてご意見を求めています。その上で、各支部のご意見もまとめて同窓会の総意として県の意見聴取に臨む予定です。

実は、20年くらい前にも共学化の指摘がありました。その時も様々な検討がなされましたが、共学化という結論には至らなかった、と報告されています。
その後、時代は大きく変わり、性差別を取り巻く社会環境も変化しています。だからこそ、現在、ジェンダー平等に基づく教育カリキュラムの改善やオープンな議論が積極的に行われ、より自由な男女のあり方や役割分担が日常の中で着実に浸透し定着しつつあると感じています。

ここで、個人的な意見を許していただければ、春高、浦高、一女などの別学校は、それぞれ長い歴史と伝統を持ち、県民から高い評価を得ているとともに、地域の誇り、子どもたちの憧れでもあり、多くの老若男女から支持されています。別学の廃止は教育の多様性を奪うことにもなり、子どもたち一人ひとりを尊重した選択には決してならないと考えます。男女共学になれば男女共同参画が進むというのはいささか早計ではないでしょうか?

私見はさておき、いい機会ですので、同窓会の皆様お一人おひとりにもいろいろとお考えいただければ幸いです。

この問題については、今後もHP等で継続的に経過報告等を掲載していこうと思っています。


埼玉県立春日部高等学校同窓会会長 種村 隆久

*関連ページ: 種村隆久会長の挨拶(2022年7月公開)