[寄稿者:同窓会副会長 中村行生氏(高5回)]
きょう日本陸連から正式に発表
春高定時制の事務主事・川内優輝選手(26歳)が、世界陸上モスクワ大会(8月)の出場権をゲットした。
2月の大分別府マラソンで2時間8分15秒という自己記録を出し、その後も、ソウル国際マラソンでさらに記録を1秒縮めて世界陸上への切符は確実視されていたが、きょう25日午後、他の男子4人とともに、日本陸連から正式に発表された。
世界陸上への出場は、2年前の韓国・大邱大会に続き2回目。前回以上に、川内選手への熱い走りが期待されているので、午後6時40分からの春高での記者会見には、テレビ中継車を含めて60人を超す報道陣が詰めかけた。
[本日18:40からの記者会見風景]
川内効果 男子マラソン界が活気づく
同選手は、「日本マラソン界を活気づけている」と「読売」の田上幸広記者はいう(4月24日、スポーツ面)。「(フル)マラソンには、3~4か月間の準備を要し、トップクラスの選手が出場するのは、年に1,2回程度、というのがこれまでの常識だった。負荷の強い練習の一環として試合に出る川内のやり方に、当初は『走りすぎ』と疑問の声も多かった。だが、最近ではそれを認める意見も増えている。長野マラソンで一緒に走った前日本記録保持者の藤田敦史選手(富士通)は『強度の高い練習を、短い間隔で入れながら試合に出るのは理にかなっている』と指摘する。今にも倒れそうな表情で必死に先頭グループに食らいつく積極的なレース展開は、『市民ランナーの星』としてフアンの共感も得た。『実業団選手に与えた影響は大きい。世選手権の選考会でも2時間8分台が5人出て、男子マラソンが活気づいている』と藤田は川内効果を評価している」と同記者はいう。
「今後も実践を積んで強くなりたい」
川内選手は、雪が降り続く長野マラソン(4月21日)でも、防寒の重装備をするロシア選手らを抑えて、今年のフルマラソン3勝目を挙げた。「レースでの気温は、普通10度から13度ぐらいがいいと言われますが、川内さんはどうですか」と今年2月に筆者が川内選手に聞いたことがあった。「いや、私はむしろ8度前後が好きですね。もっと寒くてもいいです」と言った言葉を思い出す。どこまでも常識外のすごいランナーだ。
定時制の勤務は午後からのため、平日の午前中に練習し、週末にレースに出る。春高での勤務はすでに4年を過ぎ、今年3月末で異動の可能性もあった。本人は練習環境が変わることも覚悟していたが、現在の部署にとどまり、「配慮していただいた」と感謝している。
「国内外のレースに出ても、月曜日、空港から直接春高に出勤して、仕事をしています。年休もほとんど取らない。実に真面目な人ですね」と工藤倫郎校長は語る(越谷支部会で)。
本人は、「フルマラソンを20回以上走って、単独走も競り合いも、スローぺースも速いペースも、いろんな展開に対応してきた。今後も実践を積んで強くなっていきたい」と、自信を深めている。
なお、春高同窓会として、本人の練習日程に支障がでないよう配慮しながら、功労賞と激励費を贈呈する機会を設けるよう検討している。
◆過去1年に川内選手が出た主なマラソン大会
開催日と大会名 | 順位 | タイム |
---|---|---|
2012年4月29日 デュッセルドルフマラソン |
8 | 2時間12分58秒 |
2012年8月26日 北海道マラソン |
1 | 2時間18分38秒 |
2012年9月16日 シドニーマラソン |
1 | 2時間11分52秒 |
2012年10月21日 ちばアクアラインマラソン |
1 | 2時間17分48秒 |
2012年12月2日 福岡国際マラソン |
6 | 2時間10分29秒 |
2012年12月16日 防府読売マラソン |
1 | 2時間10分46秒 |
2013年1月18日 エジプト国際マラソン |
1 | 2時間12分24秒 |
2013年2月3日 別府大分毎日マラソン |
1 | 1時間8分15秒 |
2013年3月17日 ソウル国際マラソン |
4 | 2時間8分14秒 |
2013年4月21日 長野マラソン |
1 | 2時間14分27秒 |