最近、武庫川女子大学や鎌倉女子大学といった歴史ある私立女子大学が共学化に移行するというニュースが流れてきました。それぞれ近年の受験倍率は堅調に推移し、経営的にも特に問題はないと聞きます。
では、なぜ今共学化なのか?
一番の理由は「少子化」です。鎌倉女子大学HPによると、日本の大学進学者数推計(中央教育審議会答申より)は、2021年は62.7万人、35年は59.0万人、40年には46.0万人に急速に減少することが見込まれているということです。約半数が女子だと仮定すれば、女子の大学進学者数は20万人台前半に落ち込むことが確実で、その傾向はさらに加速されるだろう、ということです。
「私立大学」である以上、受験者数の減少や定員割れによる経営への影響はどうしても避けたい問題で苦渋の選択だったのでしょう。ただ、当然ですが、卒業生や在学生からは、共学化反対の大きな声が上がっているようです。
一方、身近なところで、同じ「少子化」を理由に、埼玉県教育委員会は「魅力ある県立高校づくりの方針」の中で、2038年までに、現在の県立高校131校を116校~112校に減らす(最大19校減)必要があるとしています。
県内の公立中学校卒業者数が、約5.9万人(2024年3月)から約4.4万人(2038年3月)に減少する(約25%減)ことが見込まれるためで、「中学校卒業者の減少」と「教育ニーズの多様化」を理由として挙げています。
確かに、定員を大きく下回る高校を、現状のまま将来にわたって存続することは不要な経費支出が続くことになり、その無駄を省く必要があることは理解します。しかし、それぞれの高校には歴史があり、多くの卒業生や在校生がいます。地域の人たちの愛着や応援もあるはずです。「少子化」や「経費節減」という理由だけでは解決し得ない課題があります。
同じように、県が「主体的に」進めようとしている「共学化」についても、それぞれの別高校の歴史や伝統、地域との関わり、卒業生や在校生の意見など、さまざまな側面があります。現在、県内4か所で意見交換会が開かれているようですが、新聞報道等を見る限りでは、県教委の姿勢にそのあたりの配慮があるのか疑問です。一方的な視点だけでは大きな禍根を残すことになると思います。
さて、ここで、女子大として存続することを決めた京都女子大学が掲げた「女子大学宣言」を一部紹介したいと思います。(京都女子大学HPより)
『京都女子大学は、創立以来の建学の精神に基づき、
女子大学であり続けることをここに宣言します。
女子大学という環境だからこそ、性差にとらわれることなく、
一人ひとりが対等な関係の中で学び合い、
自立した“人”として成長することを可能にします。
この学びは、社会における多様な価値観や背景の違いの中でも、
自らの信念を持ち、一人の人間として真摯に行動し、
価値を創造する力を育みます。
(中略)
女子大学として社会の変革に挑戦する“人”を育成し続けることを
ここに宣言します。』
さわやかで清々しい宣言文です。先の中央教育審議会答申に基づけば、今後の女子大には様々な困難が待ち受けていると考えられますが、信念と行動で新たな価値を創造し乗り越えていくという大いなる気概に満ちています。
さて、私たち県立春日部高校は、設置者が埼玉県知事ですから、おいそれと「男子校宣言」を掲げる訳にいかないことは承知の上で、それでも120年を超える歴史と伝統に裏打ちされた私たちの矜持と心意気を多くの方に宣言したい(知ってもらいたい)という思いがムクムクと頭をもたげてきて、どうもいけません(笑)。
埼玉県立春日部高等学校同窓会会長 種村 隆久