同窓会長コラム 第1弾
「センテニアルホールのグランドピアノ」

春日部高校には、県立高校としては他に類を見ない音響効果に優れた音楽ホール(センテニアルホール)があります。皆様もN響コンサートや春高オペラなどを鑑賞されたことがあると思います。一般の音楽団体等にも貸し出して地域文化の振興にも貢献しています。もちろん同窓会総会の会場でもあります。

実は、ホールにあるコンサート用グランドピアノが、ホール設立以来、一度もメンテナンスを受けていないことが分かりました。ピアノ調整の専門家に見てもらったところ、多くの部分に不調が発見され全面的な修繕(オーバーホール)が必要だということです。秋には、世界的なピアニスト梯剛之(かけはしたけし)さんを招いてN響コンサートも予定されていました。

今年度の同窓会総会の直前に分かったので、まず総会で会員の皆様に説明し、修繕のご承認をいただいたところです。埼玉県が購入した学校備品ですので、修繕費用は県が支出するところですが、予算措置はなく追加措置も見込めない状況でした。幸いにも、高校の後援会が費用のおよそ半分を負担してくれることになりました。また、同窓会に1千万円の寄付をいただいた静岡県の窪田様から「是非活用してほしい」とご連絡もいただき、急いで修繕に向けた準備を進めてきました。

7月中旬にピアノ専門楽器店数社から見積りをいただき、その結果、市内のピアノ工房に約170万円でオーバーホールをお願いすることになりました。このコラムがホームページに掲載される頃には、ピアノ搬出などの準備作業が始まっていることと思います。

ただ、予定外のことも。ドイツから部品を調達する輸送船がウクライナ情勢の影響で遅れが出ていて工期が少し延びる恐れがあるとのこと。N響側にも事情を説明し、工期が延びた場合に備えてコンサートを来年1月に延期していただきました。高校にも授業や部活動にできる限り影響しないようにご配慮いただきました。皆様のご理解ご協力に感謝いたします。

なお、今回の修繕で一つやり残したことがあります。ピアノ外装の傷の補修です。壁や柱にぶつけた傷が何カ所も残っていましたが、ピアノの音には特に影響はないと考えました。血気盛んな男子校ですから、いずれまた傷が付くことは避けられないと思い、傷の跡も男子校・春高のピアノらしいと残すことにしました。よく見ると傷にも歴史と味わいがあるような… ただ、今回の修繕が終わったら、生徒たちには今後は大切に扱うよう先生から厳しく言ってもらうつもりです。

新たに生まれ変わるピアノの音色をお楽しみに。

埼玉県立春日部高等学校同窓会会長 種村 隆久

*関連ページ: 種村隆久会長の挨拶(2022年7月公開)