[ 寄稿者:春高ヨーロッパ倶楽部 加藤 晃 氏(高34回) ]
4月14日(金)~4月17日(月)イースターホリデーの4日間、「春高ヨーロッパ倶楽部」で初めてのマデイラツアーを行いました。
マデイラ島という名前は日本ではあまりなじみが無い地名だと思います。ヨーロッパでは「大西洋の真珠」と言われ、常春の楽園として大人気のリゾートアイランドです。毎年のように訪れるべき島の人気ナンバーワンに選ばれています。「アメリカにはハワイが有るがヨーロッパにはマデイラが有る。」と称されています。マデイラ自治地域となっていますがポルトガル領です。場所は、ヨーロッパ大陸最西端のポルトガルから約1,000km、アフリカ大陸のモロッコから約600km。大西洋に浮かぶ小さな(奄美大島と同程度)島です。
近年は観光業が大変に盛んではありますが、歴史的には大航海時代の中継地として、またサトウキビ・マデイラバナナやマデイラワインの生産地として発展してきました。そのためサトウキビから作られるラムやマデイラワインは嗜好品としてとても人気が有ります。
また、サッカー選手のクリスチャーノ・ロナウド選手の出身地としても有名で、彼はマデイラのヒーローです。先日マデイラ空港はクリスチャーノ・ロナウド・マデイラ空港と改名されました。
さて、今回ロンドン在住の57回田村さんご夫妻と、当地マデイラ在住の34回加藤で「マデイラ島の酒蔵巡り、絶景とマデイラ料理を楽しむツアー」を行いましたので、紹介させていただきます。
4月14日
午前11時40分、ロンドンから田村夫妻を載せた飛行機は、世界で最も着陸するのが難しい飛行場のひとつとして名高いマデイラ空港に無事着陸しました。強い風に煽られながら右に急旋回しての着陸には乗客から拍手が巻き起こりました。マデイラ空港からはマデイラの首都フンシャルへ、そこでまずはラパシュ(笠貝)とボロ・デ・カコ(サツマイモのパン)にマデイラビールで乾杯し、魚料理のランチを食べました。
ホテルにチェックインした後、夕方からバナナや花が咲き乱れ南国ムード溢れるリドのプロムナードを散歩し、夕日が沈むプライヤ・ファルモーザの海岸でシシャホシュ(アジの唐揚げ)・エビの甘辛ソース・魚介類の煮込みスープ風おじやなどを食べながら、マデイラビ―ルやポンシャ(マデイラ特有のラムベースのカクテル)などを楽しみました。その後場所を移してリドの海岸でニキータ(マデイラ特有のワインベースのカクテル)を楽しみました。
4月15日
この日は盛り沢山です。朝からマデイラワインの酒蔵であるオリヴェイラを訪ね、3年もの・5年もの・10年ものそれぞれに甘口・中甘・中辛・辛口と多くの種類を味合わせていただきました。マデイラは急斜面の島ですが、マデイラワインの酔いも覚めぬまま、有名なアクティビティのひとつであるトボガン(一般道路をソリに乗って坂を下る)に乗り約2kmの急坂を下りました。
その後、車で島の最東端ポンタ・デ・サン・ローレンソに行き、ポンタ・ド・ロシュトの断崖の上で持参のサンドイッチを食べました。断崖絶壁も日本とは違い柵の無い所が多いので、本当に怖いですよ。その後はポルト・ダ・クルシュの海岸で大きめのエビとニキータで一杯やった後、ラム工場の見学と40年もののラムを味わいました。
このままでは飲んで食べてばかりですので、レヴァダ・ウォークで森林浴して身も心も清めなければいけません。レヴァダ・ウォークと言うのは、レヴァダと呼ばれる灌漑用水に沿って森の中を歩くことです。特にマデイラの照葉樹林は世界遺産にも登録されており、氷河期以前の自然が残る地球上でも数少ない森林です。マデイラは東西50kmにも満たない小さな島ですが、島中に張り巡らされているレヴァダは2,000kmにも及ぶと言われています。見沼代用水の比ではありません。この島の人々の努力や自然を大切にする気持ちを感じるリベイロ・フリオでのレヴァダ・ウォークでした。
身も心も、そして清流に落とした携帯もきれいになった私たちは、マデイラ島第3峰ピコ・ド・アリエイロ(海抜1,818m)頂上を目指します。マデイラ島は雲海でも有名な島で、本土に住んでいるポルトガル人は、一生に一度マデイラの雲海を見ることが夢だと言われています。
ピコ・ド・アリエイロでの幻想的な雲海の景色に充分に酔った後は、フンシャルの街に下山してオールドタウンで鱸(スズキ)の塩焼き・鴨料理でまた飲んで、魚介の雑炊で盛り沢山の1日を締めました。
4月16日
マデイラ島の植物は不思議なものばかりです。漫画ワンピースの中でしか存在しないような変な植物が実在します。今日は、ボタニカルガーデンを見学しました。植物にはそれほど興味のなかった田村さんも女性陣のお勧めに従い沢山の写真を撮っていました。ところで、サボテンは草本か木本かと気になった(木になった?)ことはありませんか。マデイラでは木化したサボテンをたくさん見ることができます。
その後、断崖絶壁の絶景の3連発に挑戦です。まずはガラジョーのクリスト・レイ展望台。展望台の先に続く岬の最先端まで行った事は言うまでもありません。その絶壁の下には小さなビーチとレストランが有り、そこでタコ・イワシ・タイで一杯やったことはそれ以上に言うまでも・・・。
その次に訪れたのは天空の城エイラ・ド・セラードです。写真では伝わりにくいので掲載しませんが、フェンスが付いていてもかなり怖いです。昨日の雲海から上に出ていた岩の上から雲海の無い絶壁の下を見下ろす感じです。天空の城で飲むコーヒーは格別でした。念のため谷底(火山の火口)の街クラル・ダス・フレイラスまで降りてエイラ・ド・セラードを見上げてみましたが、本当に天空の城です。
その後にはヨーロッパでも屈指の断崖絶壁であるカボ・ジランです。日本語のガイドブックなどにはジラオン岬とかいてあることが多いです。公称ヨーロッパで最も高い海崖で世界で2番目と言うことになっていますが、ヨーロッパでもカボ・ジランより若干高い海崖が3か所発見されているとのことです。その高さは580mと言われており、展望台の床はガラス張りになっています。その高さはスカイツリーの高さに近く、ヨーロッパナンバーワンの地位を失ったとしても、年間70万人の方が訪れる容易にアクセスできる海崖としては、今でもヨーロッパナンバーワンであると思われます。日本でも同じようなことがあり、日本一と知られている島根県の魔天崖は257m、福井県の音海大断崖は260m、しかし、東京都御蔵島村の黒崎高尾山麓の名も無い海崖は480mです。余談が長くなりましたが、東尋坊の高さ25mと比較してもその高さは圧倒的です。写真では高さや約220°の角度で拡がる水平線をお届けできませんので、是非ご自身の目で確認されることをお勧めいたします。
食事に関しては、魚料理が美味しいマデイラなので、これまで魚介類を中心に食べましたが、実は豚肉は非常に美味しいです。値段も1kgで200円~400円くらいで日本では有り得ないくらい美味しい豚肉が食べられます。ポルトガルの料理は日本と共通点が多く、食材はほぼ日本と同じで、タコもイカも食べます。味付けは出汁の味を大切にした優しい味付けで、食事に関しては全くストレスを感じません。それもそのはずです。天ぷら・金平糖・柿・南蛮漬け・カステラ・おじや・カボチャ・パン・カラメル・バッテラ・チャルメラ・ボーロ・コロッケなどポルトガル由来と気付かずに食べているものも多く、日本人としては大変懐かしい感じの味付けの食事が多いです。また、世界で1番米食を食べているのは日本人ですが、2番はポルトガル人であり、この点でも鉄砲とザビエルだけでなくポルトガルと日本の繋がりを深く感じるところです。
さて、夕飯はマデイラの郷土食として大人気のシュパターダ(牛肉を串刺しにしてニンニクなどを振り焼いた大きな焼き鳥のようなもの)を赤ワインと共にいただきました。勿論、食後のマデイラワインも忘れるはずはありません。
4月17日
今日は最終日です。マデイラでは靴が非常に安くて質が良いので、靴のショッピングをしました。田村さんの奥様はショートブーツを購入していました。その後、世界で一番カラフルな市場と言われているメルカド(市場)を見学しました。日本では見たことが無い色とりどりのトロピカルフルーツが並んでいます。ヨーロッパでは魚市場は珍しいのでしょう。観光客が沢山来て賑わっています。ポルトガル人が良く食べる鱈(タラ)の他に、鮪(マグロ)・太刀魚・鯛(タイ)・金目・鱸(スズキ)・平目・鮭などが良く食べられている食材です。最後の昼食は市場の近くの食堂で、魚料理を食べました。
最終日もこれで終わりではありません。マデイラワインの酒蔵ボルジェスを訪問し、社長自らが製造過程や工場・熟成樽を案内してくれた後に、10年もの・15年もの・30年もののマデイラワインを飲ませていただきました。
マデイラワインの独特な芳醇な余韻に浸りながらマデイラ空港に到着し、今回の「春高ヨーロッパ倶楽部」第1回マデイラツアーを終了いたしました。
「酒良し・味良し・景色良し」3拍子揃ったマデイラ島ツアーに大満足の4日間でした。